銅像情報共有掲示板
網代笠を持つタイプの修行大師像について - ワインカラー URL
2020/09/26 (Sat) 22:10:04
ヒロ団長のブログの空海像についての文章で修行大師像の左手の持ち物で網代笠を持つタイプはレアであることを知りました。
道元禅師像にはよくあるタイプですが、修行大師像の場合は全国でどれくらい建立されているのかネットで調べたところ、確かにほとんどありませんでした。
見つけたのが共に東京都にある寺に建立されている2体です。
○金剛院(豊島区)http://kawado.b1.coreserver.jp/www.t-hi.jp/wp-content/uploads/DSC01910_R.jpg
○安養院(板橋区)https://ameblo.jp/composure3956/image-12446428762-14371224422.html
団長のブログに掲載された写真は安養院の修行大師像に見えますがどうでしょうか?
ところで、私は上記の2体とは別の1体を撮影しています。
それは平成28年(2016)の秋頃、当時放送されていたNHKの大河ドラマ『真田丸』に触発されて大阪市の真田丸跡地周辺を散策していた際に善福寺(通称どんどろ大師)という寺があったので参拝し、境内の大師堂で網代笠を持つタイプの修行大師像を見つけました。
笠はなんと本物でした。
ウィキペディアには「大師堂-善福寺の旧山門を移転改築した建物に修行大師像(青銅製)が安置されている。修行大師に笠が無いのは太平洋戦争中の金属供出で出されたためである」と記載されていました。
私はそれを読んで、「供出に出されたのに、笠以外の全身が残っているのはなぜなんだろう?」と思いました。
儀光寺の巨大な子育大師も先代は供出されましたが、それに比べれば善福寺の修行大師像は等身大で供出は簡単です。
また、「頭に被っていた笠だけ供出したので、代わりに本物の笠を左手に持たせたのだろうか?」とも思いましたが、よく見ると顔には笠被り修行大師によく見られるアゴ紐はありません。
「そうすると供出前の像はレアな網代笠を持つタイプだったんだろうか?」などいろいろな疑問が湧いてきました。
そこで善福寺に問い合わせてみました。
そして分かった事ですが、まず像は供出されそうになったものの、両足が床に固定されていて動かせなかったため、像全体の代わりに笠と金剛杖を取り外して供出したそうです。
そういえば現在の像には金剛杖も本物を持たせています。
また、戦前の供出前の写真で確認したので、左手に笠を持つタイプであったことは間違いないとの事でした。
右手に本物の金剛杖,左手に本物の笠を持った修行大師像はかなりレアだと思います。
このような像は他にはないだろかと画像検索をしたところ、似たような像を津軽弘法大師霊場(二十三ヶ寺)の内の青森県弘前市にある三ヶ寺で見つけました。
動画検索で見つけたユーチューブを見ると、どれも石像の修行大師のようですが、笠は本物もあるし金属製もあるようです。(第二番は三度笠?)
第一番と第二番は右手に五鈷杵,左手に金剛杖と笠を持っているという極めてレアな修行大師像です。
そして第五番は笠を持つ子安大師ですのでレア中のレアです。
第一番最勝院
https://www.youtube.com/watch?v=uJ0m3wGADm8&feature=emb_imp_woyt
第二番大王寺
https://www.youtube.com/watch?v=f-uAwHC-T8U
第五番弘前寺
https://www.youtube.com/watch?v=5qiOmjAcjwg
ということで、善福寺の修行大師像を下に投稿します。
碑像マップマッピング済です。
余談ですが、善福寺の門前には″現ギャラリー大阪府・大阪市(南部)11of27お弓とお鶴″が設置されています。(URL)
人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門』の有名な八段目前半「巡礼歌の段」の舞台を歌舞伎化の際に大坂玉造の阿波の十郎兵衛の自宅から改めて、どんどろ大師門前にしたためです。
大阪府・大阪市(南部)の銅像 - ワインカラー URL
2020/09/26 (Sat) 22:15:27
修行大師
生年:宝亀5年(774)月日不詳
没年:承和2年(835)3月21日
主な経歴:真言宗開祖
建立場所:大阪府大阪市天王寺区空堀町10-19(善福寺)
建立時期:昭和15年(1940)頃
制作者:不明
Re: 網代笠を持つタイプの修行大師像について - ヒロ団長
2020/09/27 (Sun) 21:05:38
ワインカラーさん>
空海像の考察をいろいろありがとうございます。
はい。ブログに掲載していた笠なし型の像は安養院の銅像です。(画像参照)
大坂 善福寺の銅像は、等身大の大きさでよいですか?
手前の仏具(線香立てなど)が普通の大きさであればかなり小さく見えましたので・・・。
本物の笠を持つタイプというのもあるのですね。
青森の像は石像なのですね。銅製であればまた研究材料として貴重だったのですが。
旧サイト(yahooシティーズ版)に掲載していた空海像研究のページを 以下のブログ(NEMlog)に移設しました。(そのうち、新サイトにも移植予定)
空海像研究その①~笠あり、左手に数珠と拓鉢タイプ
https://nemlog.nem.social/blog/49686
空海像研究その②~笠あり、左手に数珠タイプ
https://nemlog.nem.social/blog/49688
空海像研究その③~笠なし タイプ
https://nemlog.nem.social/blog/49698
数年前の考察ですので、現在だとまた違う見方になっているかもしれませんが(w)
空海像は奥が深いです。
日蓮像とかも分類を深堀したくなってきました(笑)
Re: 網代笠を持つタイプの修行大師像について - ワインカラー
2020/09/27 (Sun) 23:17:57
団長様
大阪 善福寺の銅像ですが、線香立てが大きかったので小さく見えたようですね。
別の写真(右)ですと花などと比べて等身大であることがお分かりになると思います。
それから、空海像研究のページの移設をされたということでご苦労様です。
″空海像研究その③~笠なし タイプ″で“上記以外の笠なし型″では修行大師の範疇には入らないもしれませんが、やはり現ギャラリー滋賀県・大津市(湖南地方)3of19立木観音の鹿に乗った空海がユニークです。
また、以前紹介した子安大師にも銅像があります。
常楽寺(岡山県井原市)
http://kasaoka.sub.jp/18/03/0311/9.html
香園寺(愛媛県西条市)
https://88shikokuhenro.jp/61koonji/
ところで、以前コンクリート像の修行大師を紹介しましたが、それは例外でほとんどが銅像か石像です。
木像の修行大師も室内用のミニチュア像はあるようですが、屋外に等身大以上で建立されていたらレアです。
逆に右手に五鈷杵を持った坐像は、寺の本堂や大師堂内に安置されているのはほとんどが木像で、屋外の路傍や祠内にあるのはほとんどが石像です。
銅像の坐像はレアですが、類型タイプではありませんが先の立木観音の像は銅像の坐像になります。
また、寝像というのもあります。
津軽弘法大師第十一番の青森県つがる市弘法寺の″お休み大師″や滋賀県彦根市大師寺の寝弘法などで、共に銅像です。
第十一番弘法寺
https://www.youtube.com/watch?v=7QbzuKWpjzI
寝弘法
https://livedoor.blogimg.jp/cj22078_ej0_7/imgs/4/e/4eeaf059.jpg
それ以外にも童形の稚児大師があり、こちらも立像や坐像,銅像や石像などいろいろあります。
確かに空海像は奥が深いです。